「作文、何を書けばいいかわからない…」
お子様が白い原稿用紙の前で固まっている姿を見て、もどかしい思いをされている保護者の方も多いのではないでしょうか。特に、夏休みの読書感想文は毎年の悩みのタネかもしれません。
実は、作文が書けない子の多くは「書き方がわからない」のではなく、「何を書くべきか」がわかっていないだけなのです。
この記事では、国語指導のプロとして、お子様がスラスラと作文を書けるようになるための「設計図」と、ご家庭で今日から実践できる「魔法の質問」について、分かりやすく解説します。
まずは大人が知るべき!作文を構成する「5つのパーツ」
「作文を書きなさい」と言われても、子どもは何をどう書けばいいのか途方に暮れてしまいます。そこで、まず指導する側の保護者様が「作文とは何を書くものなのか」という設計図を理解しておくことが非常に重要です。
作文は、基本的に以下の「5つのパーツ」を組み合わせて作られています。
- 言動:自分が「やったこと」「言ったこと」
- 例:遊園地へ行った。「観覧車に乗りたい!」と言った。
- 体験:自分が「見たり」「聞いたり」したこと
- 例:ゆるキャラを見た。弟が転んで泣いた。
- 説明:言動や体験を「くわしく」描写すること
- 例:「大きくてふわふわのクマのゆるキャラ」
- 感想:自分が「思ったこと」「感じたこと」
- 例:楽しかった。びっくりした。
- 理由:なぜそう行動したのか、なぜそう感じたのか(どうして?)
- 例:(なぜ楽しかった?)家族みんなで行けたから。
作文が苦手な子に、この5つをいきなり説明しても理解は難しいでしょう。これはあくまで、お子様から言葉を引き出すための「大人のための設計図」だとお考え下さい。
魔法の指導法!「口頭での1問1答」で言葉のタネを集めよう
設計図がわかったら、次はお子様から作文の材料となる「言葉のタネ」を集めます。そのために最も効果的なのが「口頭での1問1答」です。
お子様にリラックスした状態で、インタビューするように質問を投げかけてみましょう。
- 【言動】を引き出す質問 → 「何をしたの?」
- 親:「週末、何をしたの?」
- 子:「遊園地に行った。観覧車に乗りたい!と言って、乗った」
- → すかさずメモ:「遊園地に行った」「観覧車に乗りたい!と言った」「観覧車に乗った」
- 【体験】を引き出す質問 → 「何があった?」「何を見た?」
- 親:「へぇ、遊園地で何か面白いことあった?」
- 子:「クマのゆるキャラがいた!あと、弟が転んで泣いちゃった。」
- → メモ追加:「ゆるキャラを見た」「弟が転んで泣いた」
- 【説明】を引き出す質問 → 「どんな?」
- 親:「どんなゆるキャラだった?」
- 子:「おっきくて、ふわふわのクマだった。」
- → メモに追記:「大きくてふわふわのクマのゆるキャラ」
- 【感想】を引き出す質問 → 「どう思った?」
- 親:「遊園地、どうだった?」
- 子:「楽しかった!」
- → メモ追加:「楽しかった」
- 【理由】を引き出す質問 → 「どうして?」
- 親:「どうして楽しかったの?」
- 子:「だって、久しぶりに家族みんなでお出かけできたから。」
- → メモ追加:「家族みんなで行けたから」
このように、質問と答えを繰り返して箇条書きのメモを作っていきます。
十分にメモが溜まったら、「このメモをつなげて文章にしてみようか」と促します。この段階では、文章の構成や順序は気にしなくて大丈夫です。多少話があちこち飛んでも、「よく書けたね!」と褒めてあげることが、何よりも大切です。
まずは「原稿用紙を埋める」という成功体験を積ませてあげましょう。
作文の「量」から「質」へ!レベルアップの秘訣
実は、「5つのパーツ」には難易度があります。
- 簡単(量を稼ぐパーツ):言動、体験、説明(具体的なので言葉にしやすい)
- 難しい(質を高めるパーツ):感想、理由(内面的なので言葉にしにくい)
作文が非常に苦手なお子様の場合は、まず「言動・体験・説明」を中心に質問し、とにかく文字数を稼いで文章を完成させることを目指します。
書くことに慣れてきたら、次のステップとして「感想・理由」を深掘りする質問を増やしていきましょう。この「感想・理由」こそが、文章に深みを与え、読み手を惹きつける「質」の部分になります。
【応用編】読書感想文も「5つのパーツ」で攻略できる!
難関である読書感想文も、基本的な考え方は作文と全く同じです。
違いはただ一つ。「自分」の話が「本の中身」に置き換わるだけです。
- 作文:【自分の言動・体験】+【自分の感想・理由】
- 読書感想文:【本のあらすじ(要約)】+【自分の感想・理由】
つまり、読書感想文を書くには、まず本の内容を短くまとめる「要約」が必要になります。これも「1問1答」で解決できます。質問の主語を変えるだけです。
「主人公は何をしたの?」「主人公はその時どう思ったの?」「筆者はなぜそう考えたの?」
このように、主語を「あなた」から「主人公」や「筆者」に変えて質問し、出てきた答えをメモしていけば、それが「要約」のタネになります。
ワンランク上の読書感想文を書く「型」
さらに、読書感想文の評価を格段に上げる「型」をご紹介します。
- 一般的な書き方(要約→感想)
- 「主人公は10歳で一人旅に出ました。…(あらすじ)。僕は、主人公はすごいと思いました。」
- 評価される書き方(感想→理由としての要約)
- 「僕は、この本の主人公を心からすごいと思いました。なぜなら、彼はまだ10歳なのに、たった一人で旅に出る決心をしたからです。…(感想の理由としてあらすじを引用)」
お分かりでしょうか。読書「感想」文の主役は、あくまで「感想」です。最初に自分の心を動かされたことを述べ、その理由として本の内容を引用する。この書き方ができると、文章がぐっと主体的になり、高く評価されます。
もちろん、これも難しいテクニックですので、まずはあらすじをしっかり書くことで規定の枚数を埋めることを目標にしましょう。それがクリアできたら、ぜひこの「感想が主役」の書き方にチャレンジさせてみてください。
まとめ:お子様の「書けない」を「書ける!」に変えるために
作文や読書感想文は、決してセンスだけで書くものではありません。正しい設計図と、言葉を引き出すための適切なアプローチがあれば、どんな子でも必ず書けるようになります。
今回ご紹介した「1問1答」は、ご家庭で実践できる非常に効果的な方法です。しかし、「子どもの答えをさらに深掘りする『次の問いかけ』が難しい」「メモから文章に繋げるサポートが大変」と感じることもあるかもしれません。
家庭教師(オンライン・対面)の指導では、お子様一人ひとりの性格や語彙力に合わせて、対話の中から的確に言葉のタネを引き出し、それを論理的な文章へと組み立てるプロセスを、マンツーマンで丁寧にサポートします。
指導者はプロの脚本家でもあります。
「うちの子の『書けない』を、プロの力で『書ける!』自信に変えたい」
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