NHKのドラマ撮影法をぶっ壊してほしい

2019.07.18

こないだ大河ドラマの「いだてん」をちょっとだけ見た。内容は斬新だと評判なのに、撮影が相変わらずのNHKっぽさでがっかりした。私がいうNHKっぽい撮影というのは具体的には次の通り。

  • 律儀に各シーンごとに挿入される、セット全体を写す俯瞰気味の広角ショット
  • ライトで作っていることが丸わかりの、窓から差し込む太陽光

ちなみに私は連続ドラマをほとんど見ない。たまたまやってると、ストーリーを追わずに画面を見るだけ。そういう見方しかしない私が、朝ドラや大河ドラマを見ると、必ずといっていいほど上のふたつに出くわす。だから気になって仕方がない。なぜ気になるかというと、チープだから。日本最大の制作会社がやることにしてはチープ、という意味。

前者は、なにか内規のようなものがあるのだろうか。「場所と位置関係を視聴者にわかりやすく伝えるため、1シーンに最低1度、セット全体を俯瞰する引きの画を入れること」とかなんとか。昔のハリウッドにも、室内シーンはいきなりはじめるのではなく、人物が玄関から部屋に入るカットを必ず入れるという決まり(?)があったそうだから。

そうだとしても、なぜあんな広角レンズを使うのだろうか。広角レンズは見た目より広い範囲が写るかわりに遠近感が強調されて、なんというか非日常的、非現実的な感じになる。だから、ホームドラマや時代劇で使ってるの、あんまり見たことがない。

低予算のドラマや自主映画なら、ロケ場所の壁をぶち抜くわけにもいかないから、部屋の全景を撮るのに仕方なく広角レンズを使うのはわかる。でもセット撮影のNHKドラマでしょう。全体を画面に収めたいのなら、広角レンズを使うんじゃなくてセット自体を大きめに作ればいいだけなのに。もちろんそうなると余分に予算がかかるわけだけど、そうせず広角レンズで済ますところが、チープさを感じる所以。

後者はまず、クセがすごい。コレがNHKドラマのライティングだ!って感じで、窓があると必ず外に大きなライトを置いて、「太陽光ですよ!」って光を流し込んでくる。夕方だとオレンジの光にして「夕日ですよ!」って主張してくる。室内だけならまだしも、庭とか路地とかも全部セットでやって、お得意の人工太陽で照らしちゃう。だから、NHKドラマのセット撮影に曇り設定はない。クセを主張できないから。

いやべつに、もっとリアルにやってくれと言ってるんじゃないんですよ。むしろその逆。朝ドラの正式名称は「テレビ小説」でドラマとすら謳ってないんだから、昔みたいに記号的というか演劇的というか、そんな感じのライティングのほうが合ってるんじゃないですかってこと。

「太陽光ですよ!」って照らされると、どうしてもリアル志向の映画やドラマの画面を思い出しちゃって、「いや、リアルじゃないんですけど…」って思っちゃう。リアルさを追求すると照明の作り込みに時間がかかるし、オープンセットにすると天気を待つのにもコストがかかるからなあ…なんてことも考えちゃう。つまり、中途半端なリアル指向は、かえってチープに見えてしまう。だったら昔みたいに、「これは太陽光ってことで、ひとつよろしく」っていう様式的なライティングほうが、「大人…」って感じでかっこいいと思う。

どうでしょうかね。よく知りもしないクセに偉そうに書いちゃってスミマセン。

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