実写と絵

2019.06.14

実写は誰でも撮れるが絵はプロにしか描けない。ネットでそういう趣旨の書き込みを見てびっくりしました。そして、びっくりしている自分自身に、またショックを受けました。

私が若い頃、そんな事を言う人はいませんでした。写真もムービーも「誰でも撮れる」わけではありませんでしたし、「プロにしか」撮れないものが歴然とありました。それに比べれば、絵のほうがよほど「誰でも描ける」という感じでした。

しかし、立場は完全に逆転してしまいました。写真も動画もスマホで簡単に撮れる一方で、人を夢中にさせるキャラやイラストは、才能と技術がある絵師にしか描けません。「実写は誰でも撮れるが絵はプロにしか描けない」という書き込みが言いたかったのは、多分そういうことでしょう。

ちなみに、何年か前に広瀬すずが照明・音声スタッフを軽んじる発言で炎上したのも、これに通ずるところがあると思います。ボタンひとつでキレイな撮影ができる時代に生まれた世代の目には、照明やマイクを操作するだけのために何人もの人がいる光景は滑稽に見えたのでしょう。

テクノロジーの進歩で、人の認識はオセロの石のようにひっくり返ります。若い世代は特にそうです。しかし、古い世代は、なかなか昔の感覚を忘れることができません。件の書き込みにびっくりすること自体がその証拠です。そう考えて、二重にショックだったというわけです。

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